「肩こり」や「冷え性」は、誰もが知っている不調です。国民生活基礎調査の有訴者率でも上位に入るほど、患者さんの訴えとして頻度が高い症状です。しかし医学的には、少し扱いが難しい存在でもあります。なぜなら、どちらも明確な病名ではなく、“症候群”として括られることが多いからです。
医学的に見る肩こりと冷え性
肩こりについて、日本整形外科学会は「後頭部から肩、背部にかけての不快感やこわばり感」と定義していますが、画像検査で異常が見つからないことも多く、病気というよりは症候群とされます。
冷え性も同様で、循環障害や自律神経機能低下が背景にあると説明されるものの、医学的に確立された診断名は存在しません。つまり肩こりも冷え性も“疾患の外側”にある曖昧な不調なのです。
東洋医学から見る肩こりと冷え性
東洋医学は、こうした「病気とは言い切れないが確かに存在する不調」を扱うことを得意とします。
- 肩こりは氣の巡りが滞る「氣滞」
- 冷え性は氣が末端に届かない「氣虚」
として整理できます。正確に言えば、東洋医学はマイナーな症状から重篤な疾患までを同じ「氣」のグラデーションでとらえています。肩こりや冷え性のような曖昧な症候群も、氣という共通概念で説明できるのが強みです。
「氣のせい」は精神論ではない
肩こりも冷え性も、氣の巡りの悪さや氣の不足が背景にあります。では、どう向き合えばよいのでしょうか。
ここで大切なのは、「氣のせい」という言葉を精神論として片づけてしまわないことです。東洋医学における氣とは、生活を成り立たせる現実的なエネルギーのこと。肩こりや冷え性を「氣の問題」としてとらえることは、どこを整えればよいか──食事、睡眠、運動といった具体的な生活の指針を与えてくれるのです。
後天の氣とATPという視点
氣が流れない、あるいは末端に届かない。この状態に対してまず実践したいのは、氣の量を十分に確保することです。日常の活動に必要な氣は、基本的に食事から賄われます。これを東洋医学では「後天の氣」と呼びます。
現代生物学で言えば、食べることや呼吸をすることは、体内でATP(アデノシン三リン酸)を生み出し続ける営みです。ATPはすべての細胞が活動するためのエネルギー通貨であり、その主要な源となるのが糖質です。つまり「氣を補う」という東洋医学的な表現は、「糖質を摂り、ATPを安定して生み出すこと」と重なります。これは生物が生きるうえでの基本原理です。
肩こりの改善には氣を十分に補うことが基本ですが、それを巡らせるには日常の運動も欠かせません。特に「散歩」はシンプルで続けやすく、血流を促して氣を流す助けになります。
詳しくは 肩こりのセルフケアに散歩をすすめる理由をご覧ください。
戦後から続く“米離れ”という現実
しかし現代の日本人は、生活の基盤となるエネルギーの源を減らしてしまっています。
まさに“命(ライフ)の危機”です。
本来、糖質は活動するためのエネルギー(熱量:カロリー)の半分ほどを担うのが自然な状態です。にもかかわらず、1962年には1人あたり年間118kg食べていた米が、今では50kg前後と半分以下に減っています。
その分を埋めるように、パンや麺、砂糖や油脂を含む食品をとる機会が増えました。問題はそれ自体が悪いということではなく、主食としての座を加工度の高い食品に譲ってしまったことにあります。米は余分な成分を含まないシンプルなエネルギー源ですが、パンや麺は製造の過程で油脂や添加物が加わることが多く、「純粋な糖質」とは言えなくなってしまうのです。
米というシンプルな選択
米はパンや麺に比べて血糖値の乱高下が起こりにくく、余計な油脂や塩分を含まないシンプルなエネルギー源です。日本人が長く親しんできた食べ方とも調和しています。「氣」という漢字に“米”が含まれているのは象徴的で、偶然とは思えません。
まとめ──肩こりと冷え性にどう向き合うか
肩こりも冷え性も、病気ではなく生活全体の乱れを映す鏡のような存在です。だからこそまず、ご飯を中心にした食事でATP=氣の源を満たすこと。それが、曖昧な症候群を根本から整えるための第一歩になるのです。
具体的な個別の食事アドバイスも、施術カウンセリングの中でお伝えしています。お気軽にご相談ください。
——————————————————————————————-
Yeji浦和【鍼灸/リンパマッサージ/美容鍼/ヘッドスパ/整体/骨盤矯正】
〒336-0021
さいたま市南区別所3-16-11泰合ビル401
048 -767-3069 info@yejiurawa.com
——————————————————————————————-