※本記事は、Yeji公式ブログ
「鍼灸と“調節”の考え方」シリーズの一編です。
- ① 整うとは何か|鍼灸と「調節」という考え方
- ② すぐ変わる人・変わらない人 |問題の構造という視点
- ③ 「コリ」とは何か|局所の組織環境という視点
- ④ 介入とは何か|鍼灸は身体を操作しない
介入=「変えること」という前提
施術という言葉から、
多くの人は無意識のうちに
「身体を変えること」を想像します。
・悪いところを正す
・ズレを戻す
・硬さを緩める
臨床の現場でも、
「効かせる」「変える」という言葉は
自然に使われています。
それ自体が間違いだ、
という話ではありません。
ただ、この前提だけでは
説明しきれない現象が
確かに存在します。
同じ刺激で、同じ反応は起きない
同じ部位に、
同じように鍼をしても、
・反応が大きく出る人
・ほとんど変化しない人
がいます。
また、同じ人であっても、
・ある日はよく反応し
・別の日は反応が乏しい
ということが起こります。
もし身体が
外から操作される対象であるなら、
刺激が同じであれば
結果もある程度そろってよいはずです。
しかし、現実はそうなりません。
この事実は、
介入を「操作」として捉える見方に
限界があることを示しています。
身体は、刺激ではなく「状況」に反応している
身体は、
刺激そのものに
直接反応しているわけではありません。
その刺激が
どのような状態の中で
受け取られたのか。
・疲労の蓄積
・緊張の持続
・安心できているかどうか
・これまでの経過
そうした条件を含めて、
身体は
「どう反応するか」を決めています。
刺激は、
反応を引き起こす
一つのきっかけにすぎません。
反応そのものは、
常に身体側の条件に
左右されています。
介入とは「条件をつくること」
このように考えると、
鍼灸における介入の意味は
少し変わって見えてきます。
鍼灸は、
身体を直接変えているのではなく、
身体が別の反応を選べるような
条件をつくっている
と捉えることができます。
刺激を入れること、
緊張の向きを変えること、
感覚の集中をほどくこと。
それらはすべて、
身体が
「今とは違う反応をしてもよい」
状態になるための条件づくりです。
この意味で、
介入とは
操作ではなく、設計
だと言えます。
局所への介入も、その一部である
条件づくりというと、
全身を遠くから整えるような
イメージを持たれるかもしれません。
しかし、
条件は必ずしも
全身的である必要はありません。
自分で
「ここがつらい」と感じている局所に、
明確な刺激が入ること。
それもまた、
身体の注意や評価の向きを
変える条件になります。
いわゆる
「コッているところに鍼をする」
という行為も、
この条件設計の一部です。
ただし、それは
身体を操作する万能な手段ではありません。
どの程度働くかは、
常に背景となる条件に
依存します。
介入は、検証のプロセスである
条件を設計したからといって、
一度で答えが出るとは限りません。
・反応を観察し
・必要であれば条件を組み替え
・また反応を見る
臨床では、
このプロセスが繰り返されます。
そのため、
・一回の結果で決めつけない
・効いたかどうかだけで終わらせない
という姿勢が
重要になります。
見立てと介入は、
直線的な関係ではなく、
循環する関係にあります。
どこまで介入し、どこで待つのか
どこまで積極的に介入し、
どこで待つのか。
その答えは、
あらかじめ決まっているものではありません。
反応を見ながら、
その都度、判断していく。
介入とは、
身体の反応を引き出し、
その反応に応じて
関わり方を調整していくことです。
まとめ
鍼灸は、
身体を無理に変える治療ではありません。
身体が、
自ら反応を選び直せるように、
条件を整えている。
だから、
・効きすぎない
・人によって反応が違う
・一回で完結しない
それらは欠点ではなく、
鍼灸の性質そのものだと考えられます。
介入とは、
操作ではなく設計。
この視点に立つことで、
鍼灸の見え方は、
より現実的で、
臨床に即したものになります。
Yeji浦和の施術観について
・鍼灸における調節の全体像
・良性調節とは
・両方向性の調節
→ 鍼灸における調節の全体像はこちら
※本記事は、身体の状態や鍼灸に関する一般的な考え方を紹介するものであり、
特定の症状や疾患に対する治療効果を保証するものではありません。
症状が強い場合や医療機関での診断・治療が必要な場合は、
適切な医療機関へご相談ください。


