肩こりと冷え性から、身体全体を見る──原因を一つに決めない東洋医学の考え方

不調の見方

肩こりがある。

手足も冷える。

疲れやすい日もある。

こうした不調が重なると、

「何か共通の原因があるのかな」

と思うことがあります。

冷えているから肩がこるのか。

血流が悪いから両方起きているのか。

姿勢なのか、運動不足なのか。

もちろん、原因を考えることは大切です。

でも、身体を見る方法はそれだけではありません。

「何が原因なのか」をすぐに決める前に、今の身体がどんな状態なのかを見てみる。

東洋医学は、もともとこうした身体の見方を得意としてきました。

そしてYejiでも、肩こりだから肩だけを見る、という考え方はしていません。

肩こりや冷え、眠りや疲れ方、身体を動かしたときの変化など、その人に今起きていることを一緒に見ながら身体の状態を考え、施術を組み立てています。

この記事では、肩こりと冷え性を例に、Yeji浦和が考える東洋医学的な身体の見方をお話しします。


同じ「肩こり」でも、身体の状態は同じではない

たとえば、同じように「肩がこる」と話す人が二人いたとします。

一人は、仕事で長く座っていると肩が重くなる。

でも、歩いたり身体を動かしたりすると少し楽になる。

もう一人は、肩こりだけでなく手足の冷えもあり、最近は疲れやすく、朝もすっきり起きられない。

どちらも、訴えている症状は「肩こり」です。

でも、身体全体を見てみると、同じ状態とは限りません。

冷えがあるのか。

眠れているのか。

食欲はどうか。

身体を動かすとどう変わるのか。

最近、忙しさや生活のリズムは変わっていないか。

そうしたことまで見ていくと、

「肩がこっている」

という一つの症状だけでは見えなかった、その人の身体の様子が少しずつ見えてきます。

つまり、症状の名前が同じでも、身体の状態まで同じとは限らないということです。


東洋医学の「見立て」は、複雑な身体をシンプルに捉えるためのもの

東洋医学には、「氣」「血」「水」「寒」「熱」など、身体の状態を表すための言葉があります。

こうした言葉を使うと、

肩こりや冷え、疲れ方、眠り、食欲、身体を動かしたときの変化など、いくつもの情報をまとめながら、

「今、この身体にはどんな傾向がありそうか」

を比較的シンプルな形で捉えることができます。

たとえば「氣の滞りが強そうだ」と見立てることがあります。

でも、それは、

「氣の滞りが肩こりの原因です」

という意味ではありません。

「寒」が強く現れていると見立てたからといって、

それがすべての症状の原因だと決められるわけでもありません。

「氣の滞り」や「寒」といった言葉は、複雑に現れている身体の様子を、

今の時点で、どう捉えるとわかりやすいか

を表すためのものです。

原因を一つ当てるための答えというより、身体を見るための「見立て」に近い。

だから大切なのは、言葉そのものではありません。

その人の身体に何が起きていて、何と何が一緒に変化しているのかを見ることです。

点と点をすぐに一本の因果関係で結ぶのではなく、

点がどんなふうに並んでいるのかを見る。

そこから、その人の今の状態を考えていきます。

私は、ここに東洋医学の身体の見方の面白さがあると思っています。


食べることも、眠ることも、肩こりと同じ身体の中で起きている

身体全体を見るというと、少し大げさに聞こえるかもしれません。

でも、実際に見ていくのは、とても日常的なことです。

何を食べているか。

ちゃんと眠れているか。

身体を動かしているか。

休めているか。

仕事や家事が続いていないか。

身体は、そうした毎日の営みの中で成り立っています。

だから、肩こりの話をしていたはずが、食事の話になることがあります。

冷えの話から、睡眠や仕事の忙しさの話になることもあります。

それは、

「食事が肩こりの原因だから」

「眠れていないから冷えるから」

と決めつけたいからではありません。

どれも、同じ一人の身体の中で起きていることだからです。

もちろん、肩こりなら肩そのものに負担や問題があることもあります。

身体全体を見るというのは、肩を見なくてよいという意味ではありません。

肩の状態も見る。

そのうえで、少し視野を広げて、

「どういうときにつらくなるのか」

「最近、ほかに変わったことはないか」

「動いたときと休んだときではどう違うのか」

と見ていく。

すると、肩こりや冷えを、それぞれ単独の問題としてだけではなく、

今、その人の身体に起きていることの一部として捉えることができます。

症状を楽にすることを目指しながら、その症状がどんな身体の状態の中で現れているのかも見る。

それが、身体全体を見るということだと私は考えています。


だからYejiでは、肩こりを見ても肩だけを見ない

Yejiで施術をするときも、考え方は同じです。

肩こりで来院されたら、もちろん肩の状態を確認します。

ただ、それだけで施術を決めるわけではありません。

どういう肩こりなのか。

いつつらいのか。

身体を動かすと変わるのか。

眠れているのか。

冷えや疲れなど、ほかに気になることはないか。

実際に身体に触れたときに、どんな反応があるのか。

そうしたことまで見ながら、今の身体を考えていきます。

そのうえで、

今日はどこに鍼をするのか。

整体をどう組み合わせるのか。

温めた方がよいのか。

刺激はどのくらいがよいのか。

一緒に相談しながら施術を組み立てます。

同じ「肩こり」という症状でも、身体の状態が違えば、見るところも施術の組み立ても同じとは限りません。

だからYejiでは、

肩こりを見ても、肩だけを見ない。

肩こりを軽く見ているからではありません。

肩こりを、その人の身体から切り離して考えないからです。

肩こりも、冷えも、眠りも、食べることも、動くことも。

どれも同じ身体の中で起きています。

まず、その人の身体に今何が起きているのかを見る。

そして、その状態に合わせて施術を一緒に考えていく。

この記事でお伝えしたかったのは、そんなYejiの身体の見方です。


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参考文献

World Health Organization. WHO international standard terminologies on traditional Chinese medicine. 2022.

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