頭痛があると、「片頭痛かな」「肩こりからかな」「鍼灸で相談していいのかな」と、まず原因や頭痛の種類を知りたくなるかもしれません。
でも、その前に一つ整理しておきたいことがあります。
最初に考えたいのは、「何の頭痛か」を自分で決めることではなく、「今、何を優先するか」です。
頭痛の中には、すぐに医療対応を優先した方がよいものがあります。そこまで緊急ではなくても、鍼灸院へ相談する前に医療機関で確認した方がよい場合もあります。
そして、危険な病気が疑われる頭痛でなくても、頭痛そのものによって生活が大きく妨げられているなら、治療について医療機関へ相談する意味があります。
この記事では、「病院か鍼灸か」を単純に二つに分けるのではなく、頭痛があるときに何を先に考えるとよいのか、その順番を整理します。
突然の強い頭痛や、急に身体の動き・話し方がおかしくなったとき
突然、激しく頭が痛み始めた。短い時間のうちに、これまで経験したことのないような強い痛みになった。
あるいは頭痛と一緒に、急に片方の手足に力が入りにくくなったり、言葉がうまく出なくなったり、見え方がおかしくなったりした。
こうした変化がある場合は、鍼灸院への相談より救急対応を優先してください。
頭痛そのものとは別の病気が背景にあり、急いで医療機関で確認する必要がある場合があるためです。
明らかに緊急性の高い変化がある場合は、119番を優先します。 [1][2]
一方、「救急車を呼ぶべきなのか」「すぐに受診した方がよいのか」と迷う場合には、埼玉県では救急電話相談の #7119 を利用できます。 [3]
ただし、「救急車を呼ぶほどではなさそう」ということと、「鍼灸院へ相談すればよい」ということは同じではありません。
救急ではなくても、先に医療機関へ相談したい頭痛があります
一つの手掛かりになるのは、これまでとの違いです。
今までなかった頭痛が新しく始まった。いつもの頭痛とは明らかに違う。以前より強くなっている。起こり方が変わってきた。頭痛と一緒に、これまでなかった症状が出るようになった。 [1][4]
こうした変化があるときは、「片頭痛かな」「肩こりからかな」と自分で原因を決めるより、まず医療機関へ相談することを考えます。
頭痛以外の背景が判断の手掛かりになることもあります。
妊娠中や出産後に生じた強い頭痛、頭を打ったあとの頭痛、がんや免疫に関わる病気がある方の新しい頭痛などです。 [5][6]
また、体位によって頭痛がはっきり変化する、咳や運動をきっかけに新しい頭痛が起こる、急に強い目の痛みや見え方の変化が出た、といった場合も、鍼灸より医療機関での確認を先に考えます。 [4][7]
ここまで挙げてきたのは、頭痛そのものとは別の病気に伴って起こる頭痛を見逃さないための手掛かりです。医学では、このような頭痛を「二次性頭痛」と呼びます。 [8]
ただし、これらは自宅で「二次性頭痛ではない」と確認するためのチェックリストではありません。
ここに挙げたものに当てはまらないからといって、それだけで安全と判断できるわけではありません。 [4]
では、「片頭痛らしい」「いつもの頭痛だ」と感じている場合はどうでしょうか。
「片頭痛らしい」「いつもの頭痛」なら、もう心配しなくてよい?
片頭痛や緊張型頭痛は、頭痛そのものが疾患として扱われる「一次性頭痛」の代表です。 [8]
それぞれに、よくみられる痛み方や伴う症状があります。そうした特徴を知ることは、自分の状態を整理する助けになります。
ただし、
「いつもの片頭痛だから」
「肩こりもあるから」
「動くことはできているから」
「以前、検査を受けたときは問題がなかったから」
ということだけで、今回の頭痛について医療機関への相談が必要ないとは決められません。
以前から片頭痛などの診断を受けている方でも、起こり方が変わった、新しい症状が加わった、といった変化があれば、あらためて医療機関への相談を考えます。 [1]
片頭痛と緊張型頭痛にみられる特徴については、別の記事で詳しく整理しています。
頭痛の特徴を知ることと、「今回は受診しなくても大丈夫」と判断することは別です。
そして、もう一つ大切なことがあります。
一次性頭痛であれば、「危険な頭痛ではなさそうだから、このままでよい」と考えてよいわけでもありません。
「危険な頭痛ではなさそう」ということと、「治療しなくてよい」ということは別です
医療機関へ相談するのは、危険な病気が隠れていないかを確認するためだけではありません。
頭痛そのものによって生活が繰り返し妨げられているなら、それ自体が治療について相談する理由になります。
頭痛のために仕事や家事を止めることがある。学校や予定を休むことが増えた。せっかくの休日も頭痛で横になっていることが多い。頭痛が頻繁に起こるようになっている。
そんな状態なら、「危険な頭痛ではなさそうだから、このまま対処していけばよい」と考える必要はありません。
頭痛薬を使う機会が増えてきた。以前ほど効かないと感じる。発作のたびに薬や休息でしのいでいるけれど、生活への影響は続いている。
こうしたときも、頭痛そのものについて医療機関で治療を相談してよいのです。
頭痛が頻繁で生活への影響が大きい場合や、現在の治療を続けても十分にコントロールできない場合には、頭痛専門医や頭痛外来へ相談するという選択肢もあります。
「危険ではないかもしれない」と「十分に治療できている」は、同じことではありません。 [1]
医療とは別に、Yejiで相談できること
では、必要な医療を優先したうえで、Yejiでは何を相談できるのでしょうか。
頭痛がある方の中には、頭痛だけでなく、首や肩のつらさ、身体のこわばり、疲れが抜けにくい感じ、睡眠のとりにくさ、忙しい時期の身体の余裕のなさなどを一緒に感じている方もいます。
もちろん、それらをそのまま「頭痛の原因」と決めるわけではありません。
Yejiでは、これまで頭痛がどのように続いてきたのか、医療機関でどのような診断や治療を受けているのか、そして頭痛と一緒にどのような身体のつらさを感じているのかを伺います。
そのうえで、今の身体の状態を一緒に整理し、鍼灸を含めた身体のケアで何を目指せそうかをご提案します。
実際にケアを行ったあとは、「頭痛がなくなったか」だけを見るのではありません。
首や肩のつらさはどうか。身体は動かしやすいか。休んだときに休める感じがあるか。日常の中で、身体の感じ方にどんな変化があったか。
そうした反応を一緒に確認しながら、その後のケアをどうしていくかを考えていきます。
必要な医療を優先することと、身体の状態について鍼灸院で相談することは、どちらか一つを選ぶ話ではありません。
そのとき、その人にとって何を優先する必要があるのかを整理しながら、Yejiで担えることを一緒に考える。
それが、頭痛についてYejiで相談していただくときの基本的な考え方です。
迷ったときは、「何の頭痛か」より「今、何を優先するか」
頭痛があると、どうしても「これは片頭痛なのか」「肩こりからなのか」と答えを探したくなります。
でも、自分で頭痛の種類を決めることより先に考えたいことがあります。
突然の強い頭痛や、急に身体の動き・話し方・見え方などに変化があれば、救急対応を優先する。
新しく始まった頭痛、いつもと違う頭痛、悪化している頭痛や注意したい背景がある場合には、医療機関への相談を先にする。
そして、一次性頭痛であっても、生活への影響が大きい、頻繁に起こる、今の治療や対処だけでは十分ではないと感じるなら、頭痛そのものについて医療機関で治療を相談する。
そのうえで、必要な医療との優先順位を整理しながら、頭痛と一緒に感じている身体の状態について考えてみたいときには、Yejiでもお話を伺えます。
「何の頭痛か」を自分で当てることより、「今、何を優先するか」。
頭痛について迷ったときは、まずそこから考えてみてください。
参考文献
[1] 「頭痛の診療ガイドライン」作成委員会(監修:日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会) 『頭痛の診療ガイドライン2021』。
[2] 消防庁 『救急車を上手に使いましょう~救急車 必要なのはどんなとき?~』。
[3] 埼玉県 『埼玉県救急電話相談(病院へ行く?救急車を呼ぶ?迷ったら、#7119)』。
[4] Do, et al. “Red and orange flags for secondary headaches in clinical practice: SNNOOP10 list.”。
[5] NHS. “Pre-eclampsia.”。
[6] NHS. “Head injury and concussion.”。
[7] NHS. “Glaucoma.”。
[8] Olesen. “The International Classification of Headache Disorders, 3rd edition.”。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の診断や治療を目的としたものではありません。症状が強い場合や不安がある場合は、医療機関での評価を優先してください。


