「この頭痛は片頭痛なのか。それとも、肩や首がこっているから起きている頭痛なのか」
頭痛があるとき、そんなふうに考えることはありませんか。
片頭痛と緊張型頭痛には、痛み方や強さ、動いたときの変化、吐き気、光や音のつらさなど、よくみられる特徴の違いがあります。
こうした違いを知ると、「肩こりのせいだろう」「もともと頭痛持ちだから」とひとまとめにしていた症状も、ひとつの『頭痛』として改めて見えてきます。
まずは、どんな違いがあるのかを並べて見てみましょう。
まず、片頭痛と緊張型頭痛の特徴を比べてみる
緊張型頭痛にはいくつかのタイプがありますが、ここでは主に反復性の緊張型頭痛でみられる典型的な特徴を示します。
| 観察する特徴 | 片頭痛でよくみられる | 緊張型頭痛でよくみられる |
|---|---|---|
| 痛む場所 | 片側性が特徴の一つ。ただし両側のこともある | 典型的には両側性 |
| 痛み方 | 拍動するような痛みが特徴の一つ | 圧迫・締め付けられるような非拍動性の痛み |
| 強さ | 中等度〜高度 | 軽度〜中等度 |
| 日常的な動作 | 歩行や階段などで悪化する、または動作を避けたくなることがある | 日常的な身体活動では通常悪化しない |
| 悪心・嘔吐 | 伴うことがある | 反復性では伴わないことが典型 |
| 光・音への過敏 | 光過敏・音過敏を伴うことがある | 反復性では光または音のどちらか一方を伴うことがある |
片頭痛と緊張型頭痛には、たしかにこうした違いがあります。
でも、たとえば「片側が痛いから片頭痛」「吐き気があるから片頭痛」「動けるから緊張型頭痛」と、一つの特徴だけで決まるわけではありません。
一つの特徴だけでは、頭痛の名前は決まらない
片頭痛の診断では、痛む場所や痛み方だけでなく、痛みの強さ、日常的な動作でどう変わるか、吐き気や光・音への過敏があるかなど、いくつもの特徴を組み合わせて見ていきます。
緊張型頭痛も同じです。締め付けられるような痛みがある、動いてもあまり変わらない、といった一つの特徴だけで判断するわけではありません。
同じ人に、片頭痛と緊張型頭痛の両方がみられることもあります。
つまり、「どちらかを一つの症状で当てる」というより、そのときの頭痛がどんなふうに現れているかを見る方が、実際の整理には役立ちます。
吐き気についてもう少し詳しく知りたい方は、「片頭痛で吐き気が起こるのはなぜか」も参考になります。
首がこっていても、緊張型頭痛とは限らない
「首や肩がこっているから、これは緊張型頭痛だろう」
これは、頭痛を考えるときに起こりやすい見方です。
けれど、片頭痛でも首の痛みやこわばりがみられることがあります。
首のつらさは、頭痛を整理するときの大切な情報です。ただ、それだけで片頭痛か緊張型頭痛かを決める情報ではありません。
首こりと頭痛の関係そのものをもう少し詳しく知りたい方は、「頭痛と首こりは関係あるのか」で整理しています。
時間は、同じようには比べにくい
頭痛がどのくらい続くかも、よく気になるポイントです。
片頭痛では、治療しなかった場合や治療が十分に効かなかった場合、発作が4〜72時間続くことが診断上の特徴の一つになっています。
この「4〜72時間」は、「4時間を超えたら片頭痛」という判定ラインではありません。
むしろ、片頭痛には数時間から数日にわたる「発作」として現れる時間のまとまりがある、と考えるとわかりやすいかもしれません。
一方、緊張型頭痛は持続時間の幅が広く、時間だけを片頭痛と並べても、あまりきれいには分かれません。
緊張型頭痛では、どのくらいの時間続くかだけでなく、どれくらいの頻度で頭痛が起きているかによって、反復性や慢性などに分類されます。
ですから、「何時間ならどちら」と時間で頭痛の名前を当てるよりも、どのくらい続いたか、どのくらいの頻度で起きているかを、そのまま記録しておく方が役立ちます。
「いつもの頭痛」として片づけないために
ここまで見てきたように、片頭痛と緊張型頭痛には、たしかに特徴の違いがあります。
頭痛を繰り返していても、「肩や首がこっているから仕方ない」「もともと頭痛持ちだから、こういうもの」と受け止めている方は少なくないと思います。
つらくないわけでも、頭痛について考えていないわけでもありません。何度も経験するうちに、「どうせまた起こる」「考えてもどうにもならない」と、いつの間にか“いつものこと”になっていることもあります。
もちろん、首や肩のつらさ、疲れ方、睡眠なども、頭痛と一緒に見ておきたい大切な情報です。
ただ、それだけで「この頭痛は仕方ない」と決めてしまう必要はありません。
繰り返しているのか。数時間から数日続く発作として起きているのか。動くと悪化するのか。吐き気や光・音のつらさを伴うのか。仕事や家事を止めるほどなのか。
こうして見ていくと、これまでひとまとめにしていた「いつもの頭痛」にも、少し輪郭が見えてきます。
片頭痛と緊張型頭痛の違いを知る意味は、名前を当てることだけではありません。
「いつものことだから」と受け流していた自分の頭痛を、一度きちんと見直してみる。そのきっかけにもなります。
次に頭痛が起きたときは、全部を確認する必要はありません。「動くとどうなるか」「吐き気や光・音はどうか」「どのくらい続いたか」など、いつもと少し違う視点で見てみてください。
頭痛そのものを、一度相談してみる
「いつもの頭痛」に少し輪郭が見えてくると、これまでとは違う疑問が出てくるかもしれません。
「これって、一度ちゃんと相談してみてもいいのかな」
頭痛について医療に相談するのは、突然ものすごく痛くなったときや、緊急性が心配なときだけではありません。
繰り返し頭痛がある。
頭痛のたびに仕事や家事を止めている。
薬を飲んでやり過ごすことが続いている。
以前からあるけれど、困りごとはあまり減っていない。
そうした頭痛も、一度きちんと相談してよい症状です。
「肩こりがあるから」「昔から頭痛持ちだから」と思っていた頭痛でも、医療の中で評価や治療を考えられるものがあります。
もちろん、この記事だけで頭痛の種類を決めることはできません。片頭痛や緊張型頭痛に似た特徴があっても、ほかの原因による頭痛との区別が必要なこともあります。
だからこそ、「自分はどの頭痛なのか」を一人で決めることよりも、
この頭痛について、一度相談してみようかな。
そう思えることも、自分の頭痛との付き合い方を変える一歩になると思います。
頭痛があるときに、医療を優先した方がよいのか、どこに相談するか迷う場合は、「頭痛があるとき、まず何を優先するか」で整理しています。
まとめ|自分の頭痛を、「いつものこと」で終わらせない
片頭痛と緊張型頭痛には、痛み方や強さ、動いたときの変化、吐き気、光や音への過敏など、よくみられる特徴の違いがあります。
ただ、一つの特徴だけで頭痛の名前が決まるわけではありません。
首がこっているから緊張型頭痛、吐き気があるから片頭痛、と単純に分けることもできません。
時間についても、片頭痛の「発作」という時間のまとまりと、緊張型頭痛の持続時間・頻度は、同じ意味の比較軸ではありません。
こうした違いを知ることで、自分の頭痛を「肩こりのせいだろう」「もともと頭痛持ちだから」「いつものこと」で終わらせず、あらためて目を向けるきっかけになります。
次に頭痛が起きたときは、その頭痛がどんなふうに現れているのかを、一つだけでも意識してみてください。
そして、繰り返す頭痛や生活上の困りごとがあるなら、一度、頭痛そのものについて相談先を考えてみる。
この記事が、そのきっかけになればと思います。
参考文献
[1] Olesen. “The International Classification of Headache Disorders, 3rd edition.”
[2] 「頭痛の診療ガイドライン」作成委員会(監修:日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会)『頭痛の診療ガイドライン2021』。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的診断や治療を目的としたものではありません。


