片頭痛では、
・光がまぶしく感じる
・音がうるさく感じる
・においに敏感になる
といった「感覚のつらさ」が出ることがあります。
これは単なる気のせいではなく、
身体の中で起きている変化として説明することができます。
片頭痛は「刺激に弱くなる状態」
一般的に片頭痛は「頭の痛み」として知られていますが、実際には
・吐き気
・めまい
・だるさ
・感覚過敏
といったように、さまざまな反応が同時に起こります。
つまり片頭痛は、
「痛みの問題」ではなく
「感覚の問題」
として捉える必要があります(Goadsby 2017)。
感覚は“まとめて処理”されている
私たちは普段、
・視覚(光)
・聴覚(音)
・嗅覚(におい)
・前庭感覚(バランス)
・体性感覚
といった情報を同時に受け取っています。
これらは脳の中で統合されながら、
「いま何が起きているか」
「安全かどうか」
といった判断に使われています。
三叉神経は“顔のセンサー”
この中で重要な役割を担っているのが、三叉神経です。
三叉神経は、
・顔や頭の触覚・痛覚
・顎や口の感覚
・温度や圧の変化
を脳へ送る神経です。
さらにこの情報は、
首からの入力とともに
脳幹の**三叉神経頸部複合体(TCC)**で統合されています。
なぜ刺激に敏感になるのか
片頭痛では、この感覚ネットワークの状態が変化し、
刺激に対する閾値(反応の基準)が下がると考えられています(Blumenfeld 2021)。
その結果、
・普段は問題ない光
・普通の会話レベルの音
・軽いにおい
でも、
「強すぎる刺激」として処理されてしまいます。
感覚のズレが起こっている
さらに重要なのが、
感覚同士のズレ(不一致)です。
・視覚
・前庭感覚
・体の感覚
これらが一致しない状態は、
脳にとって「予測と違う状態」となり、
負荷となります。
その結果、
・不快感
・めまい
・吐き気
・頭痛
が起こります。
「感じすぎる身体」としての片頭痛
このように見ると片頭痛は、
感覚が鈍いのではなく、
“感じすぎている状態”
とも言えます。
本来は、
・危険を素早く察知する
・環境に適応する
ための仕組みが、
現代環境では過剰に働いている状態です。
この状態はなぜ続くのか
この過敏な状態が固定されていく仕組みについては、慢性化の観点からも整理できます。
このような「感じすぎる状態」が続くことで、
神経の反応はさらに強化され、
片頭痛が繰り返されやすい状態につながっていきます。
この仕組みについては、
で詳しく解説しています。
感覚過敏は単独で起きているわけではない
ここで重要なのは、
感覚過敏は単独の問題ではないという点です。
実際には、
・首や顎の緊張
・姿勢の崩れ
・自律神経の変化
・前庭の問題
といった要素とつながっています。
例えば、
・顎の緊張 → 三叉神経系への入力増加
・首の状態 → TCCでの処理負荷
・前庭の乱れ → 感覚統合の不一致
といった形で、複数の要因が重なり合っています。
片頭痛は「ネットワークの状態」
片頭痛は、
・三叉神経(頭部)
・頸部
・顎
・感覚入力
が統合された、
感覚ネットワーク全体の状態
として理解することができます(Goadsby 2017)。
この視点は、
東洋医学の「全体のバランスを見る考え方」とも重なります。
武蔵浦和で片頭痛を全体から見直したい方へ
さいたま市・武蔵浦和の鍼灸院 Yeji浦和では、
・光や音のつらさ
・めまいや吐き気
・首や顎の違和感
といった症状を分けて考えるのではなく、
身体のつながりとして整理していきます。
実際の施術では、
・どの感覚が過敏になっているのか
・どの入力が負担になっているのか
・どの部位から状態が作られているのか
を見ていきます。
例えば、顎や首の緊張が強い場合には、
三叉神経系への入力が増えている可能性があり、
そこから整えていくことがあります。
「なぜこんなに敏感なのか」
「どこから整えればいいのか」
そうした状態を全体の流れとして見直したい方は、
一度ご相談ください。
▶ 施術案内をみる
References
Goadsby PJ, Holland PR, Martins-Oliveira M, et al.
Migraine: a disorder of sensory processing. Physiol Rev. 2017;97(2):553–622. https://doi.org/10.1152/physrev.00034.2015
Blumenfeld AM, Varon SF, Wilcox TK, et al.
Disability, HRQoL and resource use among chronic and episodic migraineurs. Neurol Ther. 2021;10(2):561–579.
https://doi.org/10.1007/s40120-021-00236-6
Dodick DW.
A phase-by-phase review of migraine pathophysiology. Headache. 2018;58(Suppl 1):4–16. https://doi.org/10.1111/head.13300
Conti PC, Costa YM, Gonçalves DA, et al.
Headaches and myofascial temporomandibular disorders: overlapping entities, separate managements? J Oral Rehabil. 2016;43(9):702–715.
https://doi.org/10.1111/joor.12425
Mehnert J, May A.
Functional brainstem representations of the human trigeminal cervical complex. Brain. 2023;146(3):e18.
https://doi.org/10.1093/brain/awac397
本記事は一般的な身体の仕組みについて解説したものであり、特定の効果や改善を保証するものではありません。症状が強い場合や不安がある場合は、医療機関への受診もご検討ください。
関連する視点
・顎・首・姿勢はなぜ片頭痛とつながるのか
https://yejiurawa.com/blog/migraine-tcc-jaw-neck-posture/
・片頭痛でめまい・乗り物酔いが起こる理由
https://yejiurawa.com/blog/migraine-vertigo-vestibular-trigeminal/
・片頭痛が治らない・繰り返すのはなぜか
https://yejiurawa.com/blog/migraine-chronic-sensitization-memory/
この記事を書いた人
代表カヤマ
鍼灸師/医学博士
慶應義塾大学病院 漢方医学センターでの臨床経験をもとに、
慢性的な肩こりや頭痛、食いしばり、自律神経の不調など、
身体全体のバランスから整える施術を行っています。
武蔵浦和の鍼灸院 Yeji浦和 代表
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