頭痛に加えて、吐き気まで出てくる
片頭痛が起こると、頭が痛いだけではなく、気持ち悪くなる。
食べたくない。
動くと吐きそうになる。
実際に吐いてしまうこともある。
頭痛に加えて吐き気が強く出ると、食べられない、動くと気持ち悪い、薬を飲みにくいなど、発作の負担がさらに大きくなることがあります。
「頭が痛すぎるから気持ち悪くなるのだろう」と感じるのは、自然なことです。
けれど、片頭痛の吐き気は、頭の痛みだけでは説明しきれないことがあります。
吐き気は、片頭痛の「おまけ」ではない
吐き気や嘔吐は、片頭痛でよくみられる代表的な随伴症状です。
頭痛とは別に、たまたま胃の症状が重なっているというより、同じ片頭痛発作の中で起こる症状として考える必要があります。
ここで大切なのは、吐き気を片頭痛の中心病態といい換えることではありません。
頭痛が主で吐き気が副という序列だけで捉えず、吐き気そのものも発作の負担に関わる症状として見ることです。
吐き気に関わる仕組みは、脳幹にある
吐き気や嘔吐に関わる仕組みの一部は、脳幹にあります。
脳幹は、脳と身体をつなぐ場所にあり、呼吸や循環、消化など、身体の内側の状態に関わる情報を扱っています。
その中に、孤束核(NTS)と呼ばれる領域があります。
消化管からの情報は、迷走神経を通って脳幹の孤束核(NTS)へ伝わります。孤束核は、身体の内側からの情報を受け取り、嘔吐や自律神経反応の調節に関わる領域の一つです(Aurora et al., 2021)。
「頭」と「胃」は身体の上では離れていますが、神経系の中で完全に別々に働いているわけではありません。
片頭痛の神経活動と、吐き気の仕組みが重なる
片頭痛では、頭部の痛みに関わる神経の活動が起こります。
その中心の一つが、三叉神経血管系です。これは、頭部の感覚と脳を包む血管周囲の情報に関わる神経の仕組みです。
片頭痛発作では、頭部の痛みに関わる三叉神経血管系が活動します。Auroraらのレビューでは、この活動が脳幹の孤束核にも影響し、吐き気や嘔吐に関わる可能性が示されています(Aurora et al., 2021)。
読者向けにいい換えると、頭痛に関わる神経の活動と、吐き気に関わる脳幹の仕組みが、同じ発作の中で重なって動くことがある、ということです。
ただし、この経路だけで片頭痛の吐き気のすべてを説明できるわけではありません。
「頭が痛いから気持ち悪い」だけではない
片頭痛を振り返るときには、頭痛の強さだけでなく、吐き気そのものの程度やタイミングを見る意味があります。
吐き気で食べられない。
動くと気持ち悪い。
頭痛薬を飲むのもつらい。
こうした困りごとは、頭痛の強さだけでは伝わりにくいことがあります。
頭痛と吐き気のどちらが強いかを比べるのではなく、吐き気がいつ始まり、何ができなくなるのかを分けて見ると、発作の様子を伝えやすくなります。
頭痛より前に、胃の違和感があることもある
頭痛が始まるより前から、胃の違和感や食欲の変化を感じることがあります。
ただし、頭痛より前の胃の変化と、発作中に強くなる吐き気は、時間軸を分けて考える必要があります。
胃の不調が片頭痛を起こす、あるいは胃症状があれば片頭痛の予兆である、と決めることはできません。
頭痛より前に起こる胃の変化については、次の記事で整理しています。
頭痛の前に「胃の不調」が出ることがあります|吐き気や食欲低下をどう見るか
Yejiで確認していること
Yeji浦和では、「自律神経が乱れている」と一言でまとめません。
吐き気は頭痛の前・同時・あと、いつ出るか。
実際に嘔吐するか。
水分や食事がとれているか。
光・音のつらさがあるか。
めまいやふらつきがあるか。
頭痛薬を飲めているか。
今回もこれまでと同じ頭痛か。
来院時の状態を確認しながら、施術方針を考えます。
症状の特徴や経過によっては、頭痛専門外来など医療機関での評価もあわせてご案内します。
危険兆候がある場合は、施術より医療機関での評価を優先します。
まとめ
片頭痛の吐き気は、頭痛にたまたま付け加わった症状ではありません。
片頭痛発作に関わる三叉神経血管系の活動と、吐き気・嘔吐に関わる脳幹や自律神経反応の仕組みが、同じ発作の中で重なって働くことがあります。
だからこそ、片頭痛を振り返るときは、頭痛の強さだけでなく、吐き気がいつ始まり、水分や食事、服薬にどのような影響が出るかも確認する意味があります。
この仕組みだけで、片頭痛に伴う吐き気のすべてが説明できるわけではありません。それでも、頭痛と吐き気を別々の出来事として切り離さずに理解する手がかりになります。
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来院を検討されている方へ
頭痛だけ、胃だけと分けて見るのではなく、片頭痛の発作の中で、吐き気が頭痛の前・同時・あと、いつどのように重なるかを確認していきます。
Yeji浦和では、来院時の状態とこれまでの経過を伺いながら、施術方針を考えています。
安全案内
突然始まった非常に強い頭痛、いつもと明らかに違う頭痛、手足に力が入りにくい・しびれる・話しにくい・見え方がおかしいなどの神経症状を伴う頭痛、吐き気や嘔吐が強く水分がとれない状態がある場合は、施術より医療機関での評価を優先してください。
緊急性が高いと感じる場合は、救急要請を検討してください。
本記事は一般的な医学・身体理解のための情報提供を目的としており、個別の診断や治療の代わりになるものではありません。
References
Aurora SK, Shrewsbury SB, Ray S, Hindiyeh N, Nguyen L.
A link between gastrointestinal disorders and migraine: Insights into the gut–brain connection.
Headache. 2021;61:576–589.


